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無双神伝英信流 大石神影流 渋川一流 ・・・ 道標(みちしるべ)

無雙神傳英信流抜刀兵法、大石神影流剣術、澁川一流柔術を貫汪館で稽古する人のために

文化としての古武道

 先日東京に行った際にある方からお聞きした話ですが、日本でも権威のある古武道の団体に新たにある流派が正会員として加盟したということです。
 その流派を初めて調査され、世に知られるもとを作られた、ある大学の武道史を専門とされる教授に数年前に直接お話を聞いていたのですが、その流派の実技の継承はたくさんあった師範のどの系統でも断絶しており、継承者は存在しないということでした。さらに今回「宗家」という名称で加盟された方は、その教授にその流派に関する資料はないかと何度か問い合わせをされていたようです。
 その古武道の団体で会員ではないという立場で初めて演武会で演武されたときには「○○流の復元を宜しくお願い致します。」と述べられていたようですが、その家が数代にわたって教授してはいるものの実技の継承が断絶していたことは明らかでした。

 私がこの事に関して思う事は二点あります。
一つ目は権威のある古武道の団体がその目的に<文化としての古武道の保存振興>ということを掲げておりながら、その家にかつて存在していたとしても、実技の伝承が途絶えているのに、書き物に基づいて復元した流派が果たして文化財としての古武道と言えるのかということです。
 現在、世の中には書き物に基づいて復元した流派が、非常に多くあります。しかし、それらでさえ、復元ということを公表せずに50年もたてば江戸時代から継承されていた流派という嘘が真実に化してしまうでしょう。これをはたして文化財としての古武道と言っていいのでしょうか。たとえ手順は復元できたとしても、その流派に伝わった動きは断絶した時点で消滅しています。
そのようなものを文化といい、古武道というのであれば、私のような者でもいくつもの流派を名乗ることができます。武道史の研究をしていればその流派の形の手順を書いた物は幾らでも見つけることができるからです。かって日本武道学会で雑談の際に武道史の研究をされながら剣道を専門にされる方にお話をしたこともありますが、その方も笑いながら、「それなら私でもいくつもの流派を名乗ることができる。」と話されていました。
 二つ目は、その流派の流名には他家の姓がついているのにその姓に連なるものでない者、また流派の継承が江戸時代に唯一一人と限られてはいなかった流派の師範であった者が「宗家」という称号を勝手に用いてもよいのかという点です。
 宗家制度については以前にも西山松之助先生の『家元の研究』に言及したように武術にあっては完全相伝制をとっていた流派がほとんどであり、一つの流派に天皇家のような存在は無かった(あった流派がまれであった)というのが常識です。
 宗家と称することができるのは竹内流や関口流のように、流祖以来その家で伝承された流派や江戸時代において、あるいは維新後まもなく、遅くとも明治時代にはすでにそのような制度が固定されていた流派だけであろうと考えます。
 仮に現在、流派の存続のためという理由で、新たに唯一絶対の宗家制度をとったとしたら、いつからそのような宗家制度をとったのかを明らかにすべきであろうと思います。そうでなければ、そのような行為は自分だけが尊いという自尊他卑の現れであり、武術の修行とは口先だけのものでしかないでしょう。現代は誰も彼もが宗家と称して偉くなりたいようですが、同じ流名で他にも継承がある(あった)にもかかわらず宗家と名乗るのはいかがなものかと思います。今回の○○流であっても江戸時代にいくつもの師範の系統があったのになぜ、自分を「宗家」と称することができるのでしょうか。
 現在大坂で伝承されている渋川流の水田先生は、先代まで宗家という称号を用いられていたにもかかわらず、実技の継承は無くても渋川家が存在するかぎり、また存在した限り宗家は渋川家であると自ら師範と称されました。古武道の世界にも、このような高潔な方が居られます。

 今回の流派の加盟は、ある理事が強引に推し進めたことであり穏健な理事の皆さんがそれに従ったようですが、その流派の実技が断絶しており実技は復元であり、宗家の称号は?という事実を知っておられても、加盟は議決されたことでしょうか。もし、このような決定が今後もなされつづけるようでしたら、その団体の権威は地に落ちざるを得ないでしょう。
 このような問題を解決する方法はただ一つです。
 その「日本でも権威のある古武道の団体」に中立的な立場の日本武道学会会員の中の武道史の権威による諮問機関をつくることです。

「古武道の定義」
 「宗家の定義」
 「加盟しようとする流派の加盟の可否」

 等の参考意見を求めるべきであると思います。
諮問機関の意見が「否」であるのに理事会で「可」決定されれば、所詮それだけの団体という扱いを受けるだけですから。

 私を含め貫汪館で稽古する方は、決して古武道を自分の名誉や権威として利用するのではなく、文字通り「修行」のために行うものと心得なければなりません。


 9月30日(日)に行う無双神伝英信流 居合道講習会の案内を貫汪館ホームページの無双神伝英信流の稽古のページに載せましたのでご確認ください。他流派、他道場の方や一般の方にも公開して行う講習会ですので柔術の初心者の方も御参加ください。
  1. 2007/09/12(水) 17:40:27|
  2. 武道史

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貫汪館館長(無雙神傳英信流 大石神影流 澁川一流)

Author:貫汪館館長(無雙神傳英信流 大石神影流 澁川一流)
無雙神傳英信流抜刀兵法、大石神影流剣術、澁川一流柔術 貫汪館の道標へようこそ!
連絡先は貫汪館ホームページで御確認ください。

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